シアトル市内からバスで30分ほど南に位置するシアトル航空博物館は1965年に設立された世界最大の民間航空宇宙博物館で毎年50万人以上の訪問者が訪れます。150機を超える航空機の展示はワシントンDCのスミソニアン博物館に並ぶ大規模な博物館です。
各時代で活躍した戦闘機の展示も見どころで、特に見ておきたいのが第一次世界大戦と第二次世界大戦の戦闘機です。博物館には完全に復元された28機もの展示を見ることができます。
今回はその中で第二次世界大戦の機体を中心に見どころを解説とかつて太平洋戦争で活躍した陸軍一式戦闘機「隼」についてご紹介します。
▼シアトル航空博物館の行き方と展示の見どころについてはこちらの記事をどうぞ。
【シアトル航空博物館】陸軍一式戦闘機「隼」の歴史と展示解説
陸軍一式戦闘機「隼」の歴史
陸軍一式戦闘機「隼」 は太平洋戦争時の日本の主力戦闘機として活躍しました。総生産数としては零式戦闘機に次ぐ第2位です。零式艦上戦闘機は海軍でこちらは陸軍の戦闘機です。
開発は中島飛行機。のちの富士重工、自動車メーカーのSUBARUです。
ちなみに零式戦闘機はのちの三菱です。
当時、陸軍と海軍は仲が悪かったそうで、日本ではそれぞれの軍隊が世界レベルの戦闘機を開発していました。
【陸軍戦闘機「隼」と零戦】零式と一式の違い
陸軍一式戦闘機「隼」 は皇紀2601年に作られたため、1をとって一式。零式艦上戦闘機は皇紀2600年に作られたもので零式です。
皇紀という元号は日本独自の元号です。神武天皇即位の年を元年とし、皇紀2600年が西暦1940年に当たります。
千島列島占守島で回収された「隼」の展示
シアトル航空博物館の「隼」は千島列島占守島で回収された残骸から復元したもの。現在も飛行可能な状態で保存されています。
日本では戦後、敗戦国となり、戦闘機の保有が以降認められず、すべて破棄しなくてはいけませんでませんでした。なので日本ではなかなか見ることのできない貴重な機体です。
現存しているこの隼はほかにワシントンDCの博物館でも保管・展示されています。
隼は零戦よりも機動力のある機体だったと書かれています。
隼は第二次世界大戦末期には特攻機としての利用もあったそうです。
昭和天皇の写真もありました。
【シアトル航空博物館】世界の戦闘機の展示を徹底解説
シアトル航空博物館には第一次世界大戦と第二次世界大戦の戦闘機も展示されており、充実した内容の博物館です。ここからは第二次世界大戦で活躍した各国の戦闘機を解説します。
ロッキード P-38 ライトニング
アメリカのロッキード社が開発したP-38 ライトニング(Lockheed P-38 Lightning)
陸軍で戦闘機として使用され、戦果として当時の日本海軍連合艦隊司令長官山本五十六大将搭乗の一式陸上攻撃機を撃墜しだそうです。
ノース アメリカン P-51 マスタング
P-51 マスタング(North American P-51 Mustang) はアメリカのノースアメリカン社で製造され、イギリス空軍、アメリカ陸軍に使用されました。
第二次世界大戦半ばにイギリスのロールスロイス、マーリンエンジンを搭載した後は性能が大幅に向上し、様々な局面に対応できたことから最強の万能戦闘機と評されたそうです。
カーティス P-40
P-40(Curtiss P-40)はアメリカのカーティス・ライト社が開発、アメリカ陸軍航空軍で運用された戦闘機です。
連合国劣勢時に重要な役割を果たし、各国軍で広く運用されました。
チャンス・ヴォート FGコルセア
アメリカのチャンス・ヴォート社が開発したFGコルセア(Chance Vought FG Corsair)は第二次世界大戦と朝鮮戦争でアメリカ海軍と海兵隊が使用した戦闘機です。
グラマン FM2 ワイルドキャット
ワイルドキャット(Grumman FM2 Wildcat) はアメリカ合衆国グラマンが第二次世界大戦中に開発した艦上戦闘機。FM2はのちにGM社が生産したものです。
同じ艦上戦闘機である日本の零戦とも戦い、ミッドウェー海戦などに参加しました。
ヤック-9 (Yak-9)
Yak-9シリーズは第二次世界大戦において最も優れたソ連の戦闘機のひとつとされました。他国の戦闘機スピットファイアやP-51、日本の零式艦上戦闘機と比べて一回り小さい機体ですが、強力なエンジンと20 mm機関砲を基本とする強力な武装により、それらにまったく遜色ない働きを見せました。
スーパーマリーン スピットファイア
スピットファイア(Supermarine Spitfire) はイギリスのスーパーマリーン社で開発された戦闘機。
第二次世界大戦においてイギリス空軍や連合国で使用され、イギリスをドイツ空軍の手から救った救国戦闘機として有名です。
第一次世界大戦中の戦闘機の展示
こちらは制作段階の機体です。
第一次世界大戦時の各国の機体です。第二次大戦時の機体と比べると一回り小さく、設計や強度の違いが外観からもよくわかります。
戦闘機のプラモデルの展示
日本の戦闘機「Kawanishi」もありました。
【参考】戦闘機の機体に記された国家のマーク
機体付けられたこのマークは国家を表します。黒と赤い丸が日本。左の星はアメリカです。
かつてのボーイング社の工場!Red Barnの展示
かつてボーイング社が工場を構えていたのがこのRed Barnの建物です。現在ボーイング社は別の場所へ移設されましたが、当時の戦闘機制作現場が再現され、博物館として残されています。
ジブリ映画の「ひこうき雲」のリアルな世界観を感じることができる空間です。
作業工程は人物模型を展示してわかりやすく解説してくれています。空を飛ぶ機体が、手作りで作られていたのです。
中央に人が乗った初期の飛行機です。
まだまだあるシアトル航空博物館の展示
シアトル航空博物館にはこのほかにも多くの航空機が展示されています。
▼Great Galleryの展示内容の解説はこちらの記事をどうぞ。
▼別館のエアフォースワンとコンコルド、B29の展示解説はこちらの記事をどうぞ。
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